北海道砂川市一家5人死傷事故まとめ

北海道砂川市一家5人死傷事故まとめ

★事故の現場と日時
北海道砂川市西1条北22丁目交差点
2015年6月6日 22時34分ごろ

★事故の概要
被害者の永桶さん一家5人は、長女の恵さんをアルバイト先へ迎えに行き、砂川市内の妻の実家で夕食を食べて自宅へ帰宅中であった。自家用車が故障のため代車(勤務先の業務用車)の軽ワゴン車に乗っていた。
(永桶さん一家の5人乗車は道路交通法で認められた範囲内であり違法性は認められない。)

加害者の谷越龍司らBMW RV車の3人と古味竜一らシボレーピックアップトラックの2人は友人で、砂川市内柳町通りにある行きつけの飲食店などで酒を飲み、更に滝川にある次の飲食店へ移動中、国道12号線で公道レースまがいの暴走行為をしていた。同乗者を含む加害者5人が全員飲酒をしていた。

事故現場の信号あり十字路交差点で、青信号で進入した永桶弘一さん運転の軽ワゴン車の真横に、右手から来た赤信号無視の谷越龍司運転のBMW RV車が猛スピードで衝突した。
事故の衝撃で軽ワゴン車は真横に約60m飛ばされた。
軽ワゴン車に乗っていた永桶さん一家5人のうち運転していた夫の弘一さんと助手席に乗っていた妻の文恵さんが頭や胸を強く打ち即死。
後部座席から車外に投げ出された長女の恵さんも車体の一部などが体に突き刺さるなどしておりまもなく死亡した。
後部荷室で積載荷物の見張りをしていた長男の昇太さんは事故の衝撃で開いた軽ワゴン車の後部ドアから車外に投げ出された。

谷越龍司運転のBMW RV車の直後、斜め後ろを、同じく猛スピードで並走するように走っていた古味竜一運転のシボレーピックアップトラックが、投げ出された昇太さんを車体下部に巻き込み約1.5km引きずり死亡させたうえにそのまま逃走。
昇太さんの死因は司法解剖の結果、窒息死と判明し、事故直後は生きていたが古味竜一運転のシボレーピックアップトラックに引きずられたことにより死亡したと見られている。
昇太さんが引きずられた路面にはシボレーピックアップトラックの蛇行に沿って血痕が残っており、昇太さんが置き去りにされた路上で発見されたときには、下半身の骨がむき出しになるなど凄惨な状態であった 。

後部座席に乗っていた永桶さん一家の唯一の生存者である中1の次女 光さんは意識不明の重体となり、搬送された砂川市内の病院の集中治療室に長期間入っていた。回復後の現在も脳と足に重度の障害が残っており現在もなお入院中である。

事故時の谷越龍司運転のBMW RV車と古味竜一運転のシボレーピックアップトラックの走行速度は135km/h~150km/hで、BMW RV車が交差点に進入したのは信号が赤になってから33秒後と思われる。
BMW RV車とシボレーピックアップトラックの走行速度は、複数の防犯カメラ画像や、目撃証言、事故車両の破損度合い、軽ワゴン車の飛ばされた距離などから警察が解析したとされている。

古味竜一運転のシボレーピックアップトラックは、事故直後に脇道に入り、巻き込んだ長男の昇太さんを振り払うためか不自然な蛇行運転や左折左折、右折右折をしていた。

永桶さん一家の乗っていた衝突された軽ワゴン車は側面が滅茶苦茶に潰れタイヤも無残になくなっており、事故の衝撃は想像を絶するものであったと思われる。
衝突した側のBMW RV車は炎上し、運転していた谷越龍司を含む乗員3名は軽症であったが砂川市内の病院へ搬送され一時入院する事となった。


★被害者および加害者(年齢は事故当時)

●軽ワゴン車(被害者)いずれも歌志内市歌神
永桶弘一さん(44 新聞配達員)運転席で即死
妻 文恵さん(44)助手席で即死
長女 恵さん(17 高校3年)後部座席から車外放出後、まもなく死亡
長男 昇太さん(16 高校1年)後部荷室から車外放出後、シボレーピックアップトラックに1.5km引きずられ死亡
次女 光さん(12 中学1年)後部座席 一時意識不明の重体、現在も脳と足に重度の障害で入院中

●BMW RV車(加害者)
谷越隆司(27)上砂川町鶉 運転手
T.O(23)上砂川町下鶉南 助手席
D.W(26)砂川市西6 後部座席

●シボレーピックアップトラック(加害者)
古味竜一(26)空知管内上砂川町 運転手
同乗者(29)砂川市 解体工


★事故前後の加害者の行動など

●最初に事故を起こしたBMW RV車を運転していた谷越隆司被告
危険運転致死傷罪で起訴。
事故直後、赤信号だったがいけると思ったと話していたが、事情聴取では物を取ろうとして信号を見ていなかったと供述。逮捕後は青信号だった、100km/h以上は出していないと容疑を否認。

警察によると、現場近くのガソリンスタンドの防犯カメラに赤信号で交差点に猛スピードで進入する様子など事故の一部が映っていたという。
また、事故の直前に谷越龍司運転のBMW RV車と古味竜一運転のシボレーピックアップトラックに追い越された目撃者の証言も逮捕の決め手となった。
砂川市内の行きつけの飲食店などで19時頃から22時頃まで同乗者3人で焼酎などを飲んでいた。
20時30分頃からは、ひき逃げ犯とされる古味竜一被告らも飲酒に加わっていた。

●後続のシボレーピックアップトラックを運転していたひき逃げ犯とされる古味竜一被告
危険運転致死傷罪で再逮捕 起訴。
事故の前にビールをジョッキ1杯飲んだと供述しているが、BMW RV車を運転していた谷越隆司被告らと行きつけの飲食店などで20時半から22時頃まで酒を飲んでいた。
事件の翌日に出頭したが、人をひいたとは思わなかったと否認。飲酒運転がばれる、任意保険に入っていなかったから逃げたと供述。
被害者の長男 昇太さんを巻き込んでから、国道から脇道に入り、左折や右折を繰り返し振り落としのためか蛇行運転をしていた。

事故後、1度知人の車で現場に戻り、病院に搬送された谷越龍司被告らに会いにも行っていた。
事故当日は知人の家に泊まりアルコールを抜き、翌日、証拠隠滅のために車の血を洗い流すも洗いきれず出頭。
ひき逃げ車両はブルーシートをかけられ放置されていた。
実況見分で信号は赤だったと思う、事故当時、スピードは出ていたことを認めたものの、その後、信号は赤から青に変わっていたと供述を変えたが、再逮捕後に赤信号であった事を認める。
再逮捕後、抜きつ抜かれつしていてスピードが出ていたことも認め、事故について釈明することはないと供述。

●BMW RV車の同乗者2人
谷越隆司被告のBMW RV車にはT.O(23)が助手席に、D.W(26)が後部座席に同乗していた。2人とも「信号は赤だった」、1人は「自分なら止まった」などと供述。
2人はBMW RV車を運転していた谷越被告と砂川市内の行きつけの飲食店などで 19時頃から22時頃まで焼酎などを飲んでいた。

●シボレーピックアップトラックの同乗者(29 )
何か柔らかいものに乗り上げた、信号については赤だったと思うと供述。
谷越隆司被告、古味竜一被告とともに 砂川市内の行きつけの飲食店などで20時30分頃から22時頃まで酒を飲んでいた。


★裁判員裁判の予想
加害者らはなんの反省の態度、遺族への謝罪もなく、言い逃れに終始しており、情状酌量の余地は全くない。

●谷越隆司被告
古味竜一被告と共謀し、飲酒、大幅なスピード超過、殊更な信号無視により重大な事故を起こし、4人を死に至らしめ、1人に重傷を負わせた。
危険運転致死傷 道路交通法違反 求刑懲役23年
(裁判では予想通り懲役23年の求刑となった)

●古味竜一被告
谷越隆司被告と共謀し、飲酒、大幅なスピード超過、殊更な信号無視により重大な事故を起こし、3人を死に至らしめ、1人に重傷を負わせた。
更に、事故当時生きていた長男を巻き込み、現場から1.5kmも車体下部で引きずり死に至らしめそのまま逃走した。
危険運転致死傷 道路交通法違反 発覚免脱 求刑懲役30年
(裁判では発覚免脱が見送られ懲役23年の求刑となった)


★逮捕、起訴などの状況

●谷越龍司被告
6月12日 危険運転致死傷罪で逮捕
6月14日 送検
7月3日 危険運転致死傷罪(共謀)で起訴
7月17日 道路交通法違反(酒気帯び)で追送検
8月19日 道路交通法違反(酒気帯び)で追起訴

●古味竜一被告
6月9日 ひき逃げ容疑で逮捕
6月11日 送検
6月30日 危険運転致死傷罪(共謀)で再逮捕
7月10日 危険運転致死傷罪(共謀)で起訴
8月19日 道路交通法違反(ひき逃げ)で追起訴

●谷越龍司被告の同乗者 T.OとD.W
10月9日 道交法違反(飲酒運転同乗)で書類送検
11月19日 不起訴処分(理由不明)

●古味竜一被告の同乗者
10月9日 証拠隠滅で書類送検
11月19日 不起訴処分(理由不明)

●古味竜一被告の車を隠したとされる者
10月9日 証拠隠滅で書類送検
11月19日 不起訴処分(理由不明)


★裁判員裁判の内容

●2016年8月26日 裁判員裁判の公判前整理手続きが札幌地方裁判所(田尻克已裁判長)で開始

●2016年10月17日 札幌地方裁判所 805法廷で裁判員裁判が始まる
被告人: 谷越龍司(28)および古味竜一(28)
事件番号 平成27年(わ)第532号等

谷越被告、古味被告の弁護人は危険運転ではなく、過失を主張していますが、危険運転致死傷罪の法の主旨に照らし、危険運転であった事実は覆らないものと思います。
本裁判では被害者遺族の意見陳述も予定されています。両被告は被害者一家に何をしたかよく聞き、深く反省すべきです。

●10月17日 10:00~ 第1回初公判
検察は冒頭陳述で、事故の直前、谷越被告の車は最大で時速170km/h、古味被告の車は130km/hのスピードを出していたことを明らかにしたうえで、現場は見通しの良い直線道路で赤信号は事故の19秒前には分かり、2人が赤信号を見落としたはずはなく、速度競走を楽しみ、信号に従う意思がなかったなどと述べて、危険な運転が事故を引き起こしたと指摘した。
古味被告のひき逃げについては、古味被告は前方を走る2台(谷越被告と永桶さん)の衝突を認識しており、衝撃や違和感から、長男を引きずっていると認識できたはずと指摘した。

これに対して、谷越、古味両被告とも競争を示し合わせた事実はないと共謀を否認した。
事故時の速度は100km/hだった、赤信号をことさら無視した事実はない、危険運転致死傷ではなく過失致死傷だと主張。

谷越被告は落としたサングラスを取ろうとして赤信号を見落とした、飲酒についてはビール一口と焼酎一杯しか飲んでいないと過失致死傷を主張した。

古味被告は、事故は予見できなかった、共謀が成立しない以上、古味被告には谷越被告の起こした事故に対する救護義務はない。人をひいた認識もなく、車外に長男が飛び出してくるとは想像もできない中で起きた事故で過失責任も問えないと無罪を主張した。
ひき逃げについても翌朝のニュースを見て知った、谷越被告に負けたくないとの思いから速度超過してしまったと起訴内容を全面的に否認した。

●10月18日 10:00~ 第2回公判
事故の第一発見者で、現場の約2km手前で被告2人に追い越された証人が、2人の運転について、自分は60km/h程度で走行していて2倍以上のスピードだったと思う、かなり危なっかしい運転だったと証言。

検察側の証人2人が防犯カメラ映像に関しての証言を行った。
また、検察は永桶さんの長男の昇太さんを引きずり死亡させたとされる古味被告が事故後、友人らと交わした会話などを明らかにした。
古味被告は友人に「一晩経ったので、俺、酒は飲んでいないって言う」と話していた。
古味被告は、友人らのうちの1人の家に車を隠していた。友人がナンバープレートを外したが、古味被告は「出頭した時不利になるからナンバー付けといてと」頼んだ事が明らかになった。
また、別の友人が、現場から逃げた理由を「任意保険に入っていないので街路灯が弁償できないからにすればいい」とアドバイスした事も明らかにされた。

●10月19日 10:00~ 第3回公判
道警職員が谷越、古味両被告の防犯カメラ映像からの走行速度分析について事故現場の1.8km手前から猛スピードで暴走していたと思われると証言した。

撮影されていた防犯カメラ映像
1.コンビニA店
繁華街から国道に出て来る2台が撮影されていた。
2.コンビニB店(事故現場2.2km手前)
赤信号で2台が停車。
3.中古車販売店前(2.から400m地点)
猛スピードで2台が通過。2台とも130km/h以上。
4.青果市場前(3.から800m地点)
猛スピードで2台が通過。谷越被告が170km/h、古味被告が130km/h。
5.GS給油所前(事故現場、4.から1000m地点)
谷越被告が111km/h以上で衝突し、古味被告が100km/h以上で長男を巻き込んだ。

●10月20日 9:50~ 第4回公判
事故の直前に酒を提供した被告の行きつけの飲食店の女性店主が、谷越被告が同乗者と3人で来てジョッキでビールを2杯飲み、古味被告と同乗者の2人が加わってから更に焼酎をボトルで注文し5人でボトルの約2/3を飲んだと証言した。
これは谷越被告側のビール一口と焼酎一杯しか飲んでいなかったという主張を否定する内容である。
また、道警捜査員が事故現場の交差点の停止線からおよそ776m手前から信号は確認できたという実況見分の結果を明らかにした。

●10月21日 10:00~ 第5回公判
古味被告の車の助手席に同乗していた男性が「車がどんどん加速していき、ちょっと怖いなと思った」、事故の前、速度を上げて走行していた古味被告は「これ以上スピードが出ない」などと口にしていて「谷越被告に負けたくないという気持ちがあったと思う」と2人が競い合っっていた事を示唆する証言をした。

事故現場の交差点の100m手前で古味被告に対し「信号が赤だぞ」と注意したが、古味被告は何も言わず減速する事なくそのまま100km/hぐらいで交差点に進入した。
古味被告が否認しているひき逃げついては「小さな段差を乗り越えるような感じがした、ムニュって感じだった」事故後「事故現場に戻ろう」と言ったが古味被告は「とりあえず車を置きにいく」と言ったと証言した。

一方の谷越被告の車に乗っていた男性は「事故現場の2kmぐらい手前で谷越被告の車が古味被告の車を追い抜いた」谷越被告は「竜一(古味被告)の車、速いな」と言ったと19日の検察側の走行速度分析を裏付ける証言をした。

●10月25日 10:00~ 第6回公判
亡くなった永桶文恵さんの母親の廣澤千恵子さんが証言し「一家5人は家族みんな仲が良く、いつも一緒だった。週に1度、我が家に遊びに来てくれましたが、いまは私1人になりました」「孫の仕事や結婚、成人式などこれからを楽しみにしていたが、もう叶わない」と涙で声を詰まらせながら悲痛な気持ちを訴えた。

千恵子さんは「事故の直前まで一家5人と会っていて、一緒に夜ご飯を食べてテレビを見ました。事故が多いので気を付けてねと言った後、ハイタッチをして帰って行きました」と語ったうえで「被告側から謝罪はない」「現場から1.5kmも車で引きずられた昇太と同じような目にあわせてほしい。それがかなわないなら一生刑務所から出さないでほしい」と厳罰を望む訴えをした。

亡くなった永桶弘一さんの弟から聞き取った調書が読み上げられ「兄も子どもたちの将来を楽しみにしていたはずで本当に不憫で胸が苦しい。死刑が無理なら長期間の刑を望みます」という心情が伝えらた。

また、21日の証人尋問に出廷しなかった両被告の日ごろの運転状況を知る知人男性が、札幌地裁の勾引手続きにより強制出廷したが、検察側の説得に対し「家族に不利益が及ぶから話せない」などと証言を拒否したため、検察側は知人男性の捜査段階の供述調書を証拠請求した。

●10月26日 10:00~ 第7回公判
被告人質問で古味被告が改めて無罪を主張した。
ひき逃げについて「赤信号で進入した認識はなかった」「谷越被告の車をずっと見ていたので、信号を見たかは覚えていない」「谷越被告の車が永桶さんの車とぶつかったのははっきりわかった」その後「何かにぶつかったような記憶はあるが一瞬だったので何が何だかわからなかった。長男の昇太さんが飛び出してきたのは見えなかった」と述べた。
歩道ぎりぎりを走ったり、蛇行運転をしたのは昇太さんをひいた事に気付いたからではとの質問に対しても「引きずった感覚はなかった。気付いていたら止まっていた」と述べ「飲酒していたので見つかるとまずいと思い逃げた」「谷越被告とレースをしようという意識はなかった」などと証言した。

事故の時の状況について、直前に130km/hの速度を出していたか、信号を見ていたか、ブレーキを踏んだか、同乗者の友人から現場に戻ろうと言われたことなどを問われると「覚えていない」「よくわからない」などの発言を繰り返した。

また、過去の運転状況については「眠くなるので、抜き合って速さを競うことは何度かしたことがある。信号無視は10回くらいはしていると思う。二日酔い程度なら運転しても大丈夫だと思っていた」と証言した。

検察側は古味被告の友人の供述調書を読み上げ「競走するように走るのは誰もが知っている。180km/hを出すこともあり、助手席で怖くなったこともある」などの内容が証拠として採用された。

また、古味被告は、事故当日の飲酒量について「カラオケでカクテルを2~3杯、自宅や友人宅で缶ビールを3本以上飲んだ。谷越被告と会った飲食店でもビールや焼酎を飲んだ」と証言し、検察側からの「違法行為だという認識があったか」という質問には「ありました」と答えた。

事故後、病院に搬送された谷越被告に会いに行った際に被害者の心配はしなかったのかとの質問には「友達の谷越被告の事の方が心配だった」と答えた。

●10月27日 9:50~ 第8回公判
被告人質問で谷越被告は事故は前方不注意の過失によるもので危険運転にはあたらないと改めて主張したが、検察側は谷越被告の証言の矛盾を何度も指摘した。

谷越被告は弁護側の質問に対し「タバコに火をつけたときにブレーキを踏み、そこで古味被告に抜かれたがその後は加速していない。100km/h以上出した認識はなくレースをしたつもりはない」「車内に落ちたサングラスを探していて進入時の信号は見ていなかった」「最後に見た交差点の信号は青だった」「赤信号は見ていない。赤信号なら絶対に止まっていた」と述べた。
裁判員がサングラスが落ちた理由を何度も尋ねたが、谷越被告は曖昧な受け答えではっきりした理由を述べなかった。

また、普段から車の競走をしていたかについて「制限速度以上を出したことはあるがレースをしたことはない」と暴走行為を否定した。
事故の遺族に対しては「一生癒えることのない傷を負わせてしまいお詫びします。どう償うかずっと考えてきたが答えが出ていない」と述べた。

午後からの検察側からの質問で、谷越被告は現場までの速度は100km/hは出ていなかった、80km/hぐらいだったと思う。過去に飲酒運転をした事はなく、生まれて初めての飲酒運転で事故を起こしてしまったと証言した。
また、検察側は信号は青だったと認識していたとする谷越被告に、検証結果からありえないと何度も質問したが谷越被告はこれを認めなかった。

谷越被告はサングラスを探した状況について、交差点手前400m~450m付近で「最初にハンドル左側の足元に手を伸ばして下を見た。その後右側の足元を同じように見ているうちに衝突した」と説明。足元を見ていた時間は「左右それぞれ1~2秒と思う」と話した。
検察側は「下を見ていた時間を多めにみて6秒としても、説明通りに450mを走行して交差点に入るには270km/hで走行した計算になる」と、谷越被告の説明の矛盾を指摘した。
裁判官の、これまで古味被告と速度を競い合った記憶はあるかと質問には「1回もないです」と答えた。

続いて、亡くなった永桶文恵さんの母親の廣澤千恵子さんが被害者参加制度にもとづき意見陳述を行った。
千恵子さんは一家5人と過ごした日々を振り返り「こんにちは、ばあちゃんお邪魔します、と訪ねてくる娘家族。もう誰も来ません。寂しいです」毎日、死亡した4人の遺影を眺めては「あんたたちどこにいるの。ひっか(光さん)のこと守ってよ」と話しかけ、その度に涙がこみ上げる。「もう一度みんなに会いたい。夢も希望も奪われ悔しいと叫んでいる声が聞こえてきます」と涙で声を詰まらせながら話した。
両被告に対しては「この事故の事を思うと煮えたぎる思いになります。まだ言い逃れしたいのですか。無罪を訴えるなんてとんでもない。刑務所から一生出さないで欲しい思いです。一番重い刑を切望します」と訴えた。

●10月28日 10:30~ 第9回公判(結審)
谷越龍司被告、古味竜一被告にそれぞれ懲役23年が求刑された。

午前、検察は両被告に対する論告で「見通しのよい直線道路で信号を見落とすことは考えにくく、同乗者の証言などからも両被告があえて赤信号を無視したことは明らかだ」「140km/h前後のスピードで競い合って走行し交差点に近づいても減速していない」「自動車を走る凶器そのものにした行いである」「家族の未来を一瞬にして奪った結果は極めて甚大」「身勝手で無謀な運転により4人が死亡するという過去に例のない極めて悪質な事件であり、量刑は過去の事件を超越するものでなければならない」として、谷越被告、古味被告、それぞれに危険運転致死傷の共謀、道路交通法違反などで懲役23年を求刑した。
求刑の際、両被告はうつむいたままで表情を変える事はなかった。

検察の求刑後、事故で亡くなった永桶文恵さんの母親の廣澤千恵子さんが弁護士を通じて「絶対に許したくないと思い、繰り返し裁判所に足を運んできましたが、被告たちから聞かされるのは弁解ばかりで、再び大きなショックを受けています。そんな被告たちを一生、刑務所に入れてもらいたい。亡くなった4人はもちろんですが、いまも入院を続ける次女が将来ひとりぼっちになることを考えると、とてもつらく悲しいです」と今の気持ちをコメントした。

午後、被告側は谷越被告について「赤信号を見落としただけ」などとあくまで過失による事故だと主張し、古味被告についてはこれまで通り無罪を主張した。

最終陳述で谷越被告は「一日も早く刑に服して遺族の方が前に進めるよう努力し死傷させてしまった5人の分まで生きたいです」 と、古味被告は「被害者の方に申し訳ないと思っています。すみませんでした」と謝罪の言葉を述べ、計9回に及んだ裁判は午後2時半に結審した。

●11月10日 16:00 判決言い渡し(予想)
公判の所感から判決を予想します。

谷越、古味両被告がともに飲酒の上、レースまがいの暴走行為をし、赤信号を殊更に無視した結果、重大な事故を起こし、永桶さん一家5人を死傷させたのは複数の証言や証拠から明らかである。
過去に例のないほどの極めて悪質な危険運転の共謀などによる死傷事故であり、被害者一家の夢や希望を一瞬で奪った行為を許す事はできない。

谷越被告は事故は過失によるもの、古味被告は事故は予見できなかったものと無罪を主張しているが、被告自身の証言のしかなく、客観的、合理的に過失や無罪を証明する証言や証拠はないため、両被告は自らの罪を軽くするための言い逃れに終始していると判断される。
両被告は謝罪の言葉を口にしたが、事故の真実を語らず、心からの反省をしているとは思い難いため情状酌量の余地はない。

また、起訴内容では古味被告の飲酒運転の事実が含まれていないが、公判の内容から飲酒の上で事故を起こし、飲酒運転の事実を隠すためにそのまま逃亡した事も明らかである。

以上により、過去のいずれの悪質な危険運転致死傷罪の判例をも上回る量刑で、谷越被告には求刑通り懲役23年、古味被告には求刑を上回る懲役23年以上の判決言い渡しを予想します。

*為参考
尼崎飲酒運転事故(3人死亡)懲役23年
小樽飲酒ひき逃げ事件(3人死亡、1人重傷)懲役22年
福岡海の中道大橋飲酒運転事故(3人死亡)懲役20年


★裁判員の方へお願い(10月29日 記)
本事件では谷越、古味両被告が共謀して事故を起こしたとして同一事件として起訴されました。
飲酒、信号無視、大幅なスピード超過などが死をもたらす重大な事故を引き起こすことは十分予見できたことから未必の故意により殺人罪も問える事件であると思いますが、危険運転致死傷の共謀での起訴となりました。検察は危険運転致死傷でも殺人相当の量刑がくだされると判断したのかもしれませんが、極めて悪質な行為で4人の命を奪い1人に重度の障害を負わせて懲役23年は刑が軽すぎるとしか思えず、現行法の限界に疑問を持たざるを得ません。

両被告は日常的に飲酒、暴走運転を繰り返していた事実が確認されており、本事件は偶然ではなく必然に起きたとも言え、殺人事件と本質的には同じものだと考えます。
また、永桶さん一家は近所でも評判の仲良し家族だったそうで本当に心が痛みます。
両被告の極めて悪質な行為は反省の言葉をもっても許される事ではなく、最長期刑を下す事に躊躇する必要はないものと考えます。

本事件は裁判員裁判となりましたが、多くの事故被害者や遺族の方々の悲痛な思いから危険運転致死傷罪ができ、また刑が軽すぎるとして刑期の延長が図られてきた経緯や、そもそも刑とは被害者自らが加害者に私刑を下す事ができない以上、被害者に代わり公正に加害者を罰する主旨である事を裁判員の方々にきちんとご理解いただき、正当な審理と判決を望みます。


★11月10日 16:00 判決言い渡し
検察側の主張が全面的に認められ、田尻克已裁判長より求刑通りの刑が言い渡された。

谷越龍司被告(28) 懲役23年
古味竜一被告(28) 懲役23年

判決が言い渡された時、両被告はうつむいたまま表情を変える事はなかった。

田尻克已裁判長は、「両被告は競うように高速で運転し互いに1度は追い抜いている。相通じていたもので無関係に走ったとは考えられず、殊更に赤信号を無視してスピードを緩める事なく交差点に進入した」として危険運転致死傷の共謀を認め、「両被告とも酒を飲んだ後、100km/hを超えるスピードで運転し事故を起こした」「谷越被告は交差点の500m手前で赤信号を認識できた」「古味被告は先行の谷越被告の車だけを注視し信号の確認を怠り、事故後は飲酒運転を隠そうと逃走した」「証言や証拠から両被告の主張は到底信用できない」として谷越被告の過失致死傷、古味被告の無罪の主張を退けた。

また、「犯行は交通ルールをまるで無視したものであり危険かつ身勝手極まりなく過去に類を見ないほど悪質である」「引きずられる苦しさや恐怖の中で絶命した長男の苦痛は想像を絶する」「被害はこれまでに例を見ないほど甚大かつ悲惨であり、被害者らの負った苦痛は計り知れず、遺族の悲しみは相当に深く厳罰を求めるのも当然」とし、「両被告とも反省が見られず刑事責任は重い」と判決理由を述べた。

判決後、遺族として被害者参加制度に基づき裁判で意見陳述を行なった永桶文恵さんの母親の廣澤千恵子さんは、「裁判長に細かく言ってもらいありがたかった。刑も決まりちょっと安心したが、犠牲になった子どもや孫は帰ってこない。事故で家族を亡くした悲しみは一生忘れることが出来ず、死んでも忘れられない。残された1人の孫のためにも自分も頑張っていきます」「今でもたくさんの事故が起きている。交通事故を減らす為に国は刑そのものを重くして欲しい」とコメントした。


★所感、今後について
両被告は家族4人を死亡させ、1人に重い障害を残す重傷を負わせたが、犯行の経緯などから、本事件の本質は事故よりも殺人に近い。
殺人であれば死刑、事故の側面を踏まえても無期懲役を科するのが妥当と思われ、危険運転致死傷の故意性について更に議論が必要と感じる。

谷越被告の懲役23年の判決は現行法で科せられる最も重い刑である。
一方、古味被告には更に発覚免脱罪を併合して懲役30年を検察は求刑できたはずである。
判決は古味被告は飲酒を隠す為に逃走したと認めているので、この点は残念である。

公判中、一貫して、谷越被告は過失を、古味被告は無罪を主張してきたので被告側は控訴すると思われるが、高裁では控訴棄却が予想される。

また、同乗者や証拠隠滅に加わった者、酒類を提供した飲食店主らがなんら罪に問われていない点に違和感を感じる。


★2016年11月 両被告が控訴
11月18日 判決を不服として古味竜一被告が控訴
11月24日 判決を不服として谷越龍司被告が控訴


★控訴審
(予想)
控訴審で、谷越被告は事故は過失によるもので危険運転にはあたらないとして過失致死傷を、古味被告は共謀はしておらず谷越被告の起こした事故に巻き込まれたもので長男を引き摺った認識もなかったとして無罪または長男に対してのみの過失致死の主張をする方針と思われるが、控訴審では一審で提出された証拠の取り調べは行われず、また、裁判員裁判の判決を重視する傾向が強い事から、両被告が新たな証拠の存在を主張しなければ控訴は棄却される可能性が高いと思われる。

●2017年4月14日 札幌高等裁判所 805法廷で控訴審(高橋徹裁判長)が始まる。

●4月14日 10:00~ 初公判
古味被告は出廷せず、谷越被告への質問のみが行われた。
弁護側は事実誤認があると主張し、検察側は棄却を求めた。控訴審は即日結審した。
高橋裁判長は、両被告の赤信号殊更無視と共謀は明らかで、類を見ないほど悪質とした上で一審判決を支持、控訴を棄却した。
これにより、両被告の刑はほぼ確定した。


谷越龍司被告 (28)懲役23年
古味竜一被告 (28)懲役23年

★2017年4月24日 谷越龍司被告 懲役23年 確定


(出番記者)

  • 最終更新:2017-04-24 23:17:37

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